「売れる、貸せる」中古マンションの条件とは?

将来、住みかえたいと思ったときに、いつでも売ったり貸したりできる中古マンションを選ぶとしたら、どんなポイントに目をつければよいのでしょうか。立地、築年、プランの面から解説します。

目次
  • 1. 「他人の目」で見ると、最寄り駅から近いほどベター
  • 2. 住環境によっては、利便性より優先される条件もある
  • 3. 築年が古くても、売りにくくはならない
  • 4. 個性的なプランよりスタンダードな間取りが好まれる

中古マンションを探している方に希望を伺うと、「売りたいと思ったときにスムーズに売れるマンション」とか「必要なときにすぐに借り手が付くマンション」といった条件を挙げるケースが増えています。

最初は永住を考えていても、何らかの事情で売らざるをえなくなる恐れはあります。万が一のときに売りやすい、貸しやすい中古マンションを買っておけば、さまざまな事態に対応できます。そこで、売りやすい、貸しやすいという視点から物件選びのポイントを解説します。

1.「他人の目」で見ると、最寄り駅から近いほどベター

もっとも大切なポイントは立地条件です。なかでも「交通の利便性」が重視されます。誰もが筆頭に挙げる当たり前の条件のようですが、実は「自分の好み」だけで考えると意外にバラツキがあります。自分で住むなら「広くて静かなら、駅から徒歩15分くらいかかっても構わない」という意見もあるでしょう。しかし、「売りやすさ」や「貸しやすさ」を考慮するなら、「他の人がどう考えるか」という視点も合わせて持っている必要があります。

言い換えると、購入(賃借)希望者のボリュームゾーンが多いところはどこかを考えるのです。最寄り駅からの所要時間では、なるべく近いところが好まれるのは間違いないでしょう。エリアによって特性が違うので「○分以内がいい」という数値は、一概には言えません。

物件探しで不動産仲介会社を訪ねたときに、自分の希望条件を伝えると同時に、「このエリアでは徒歩何分以内を希望する人が多いですか? どんな物件に人気がありますか?」と聞いてみましょう。その地域のニーズをつかむことができます。

2. 住環境によっては、利便性より優先される条件もある

立地条件のなかには住環境も含まれます。なるべく最寄り駅から近いほうがいいと述べましたが、緑が豊富で区画が大きい閑静な住宅地の場合は、必ずしもそうとはいえません。むしろ少し駅から離れたほうが、静かで落ち着いた住環境になります。このような住宅地の低層マンションならば、最寄り駅から徒歩10分以上でも需要がある可能性があります。

また、再開発エリアも、現在の利便性だけでは判断できません。購入した時は少し不便でも、近い将来に新線や新駅が設置されるとか、駅周辺の再開発で商業施設が充実するとか、住環境が大きく変わるところは将来的に人気が高まる可能性があるからです。

大規模な再開発の場合は都道府県が許認可を出しますので、希望の地域が決まっていたら、都市計画課など所轄の行政窓口に主な「市街地再開発プロジェクト」について問い合わせてみるといいでしょう。

3. 築年が古くても、売りにくくはならない

中古マンションでは築年数も気になる条件の一つでしょう。ただし、築年が新しいから売りやすい、古いから売りにくいということはありません。築年が新しければ高くなりますし、古ければ相対的に安くなります。それぞれに需要はあるわけです。実際、築5年以内の新しいものから、築40年以上の古いものまで売買事例はあります。築年数に見合った価格であれば、売却することは可能です。

東日本レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場2017年」を基に作成)

図2は、2017年に首都圏で成約した中古マンションの築年帯ごとの比率を表しています。もっとも多いのは「築31年以上」で25%を占めていますが、どの築年帯でもまんべんなく売れているといっていいでしょう。

「売りやすさ」や「貸しやすさ」は、築年の新旧だけではなく、管理の良し悪しによっても左右されます。なかでも、修繕積立金が十分に準備されているかどうかが重要です。

4. 個性的なプランよりスタンダードな間取りが好まれる

間取りプランの違いも、「売りやすさ」「貸しやすさ」に関係します。ファミリータイプでもっとも多い間取りは3LDKでしょう。子ども1~2人と夫婦で構成された3~4人世帯にもっとも合った一般的なプランだからです。また、今は夫婦2人だとしても、将来、子どもが増えても住み続けられるので、幅広く対応できます。ニーズが多いということは、売るとき・貸すときに買主や借主を探しやすいということです。

見栄えのいい個性的なプランより、誰にでも応用が聞くスタンダードなプランが無難

これに対して、70~80m2台でも1LDKや2LDKにするタイプも一時期増えました。「ホームパーティができる」と謳われるような、広いリビングダイニングルームに加えて、浴室やキッチンなどすべてのスペースに余裕をもたせたプランです。ただ実際には、面積が広いのに部屋数が少ない間取りは、買主や借主のニーズと合いません。「子ども部屋が欲しい」「書斎が欲しい」「親が遊びに来たときなどの客間があったほうがいい」といった理由で、部屋数を求めるニーズのほうが高いです。

4LDKタイプは数が少なくて希少性があるため、比較的売りやすい間取りです。子どもが多い世帯だけでなく、親を引き取るなど二世帯同居にも対応できるからでしょう。

もともと2LDKだった間取りを1LDKに間取り変更したリノベーション物件もニーズが限られるのが実情です。稼働間仕切りなどで簡単に2LDKに戻せるようなら不利にはなりませんが、大胆にワンルームにしてしまうなど、過度に「自分好み」にして一般的なニーズからかけ離れてしまうと、なかなか買手は付きません。

賃貸マンションの場合は、築年の古い40m2以下の小型の2DKを1LDKにリフォームすると借り手がつきやすくなるケースもあります。このくらいの広さは、かつては小型ファミリー向けでしたが、今ではシングル層向けといえるでしょう。一般的なファミリー向けの場合は、賃貸でも部屋数重視の傾向が強くなります。

この他、新築時の事業主、ゼネコンなどの知名度や実績を重視する人もいます。特定のマンションを指名で探す人も増えています。今後は、ブランド力もプラスアルファの価値として「売りやすさ」「貸しやすさ」につながってくるのではないでしょうか。

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中古マンション売却の流れ

ここからは中古マンションを売却するときの基本的な流れをご紹介します。将来的に自宅の売却を検討している方は、まず準備として売買契約までに必要な過程をチェックしておきましょう。各ステップで時間がかかりますので早めに準備すると安心です。

STEP1:相場をチェックし査定を依頼する

不動産会社へ査定依頼をする前に、最初にご自分で物件がいくらで売れそうか、価格の相場をご確認ください。その際は、インターネットの不動産情報サイトを利用し、周辺地域の条件の近い物件を参考にするとよいでしょう。

STEP2:不動産会社が査定と調査を行う

相場が確認できたら、不動産会社へ査定を依頼します。複数の不動産会社へ依頼するのが一般的です。それぞれの不動産会社が物件の調査を行い、査定価格を算出します。査定額やスタッフの対応を比較したうえで、中古マンション売却の仲介を依頼する不動産会社を選択しましょう。

STEP3:不動産会社と媒介契約を結ぶ

中古マンションの売却価格を決定して、不動産会社と媒介契約を結びます。売却を1社に依頼する「専任媒介契約」と「専属専任媒介契約」、複数社に依頼する「一般媒介契約」という種類があります。

STEP4:売却活動を行う

中古マンションの買主を見つけるための売却活動を行います。具体的には、物件の広告を不動産情報サイトに掲載したり、購入希望者の内覧に対応したりといった取り組みがあります。

STEP5:売買契約を結び物件を引き渡す

買主が見つかったら、売買契約を結びます。契約当日までに必要書類を揃え、速やかに手続きを済ませるための準備が必要です。売主が買主へ物件(鍵)を引き渡し、買主から物件の売却代金が振り込まれたら、不動産売却が完了となります。

中古マンション売却の査定方法

中古マンション売却では、「机上査定」と「訪問査定」という方法があります。また、査定額の算出方法にも種類があります。不動産会社へ査定依頼をする前に、基本的な情報を理解しておきましょう。

中古マンションの査定方法

机上査定

机上査定とは、不動産会社が直接に物件を見ることなく、依頼者から提供された情報をもとに、自社の類似物件の取引実績を参考として簡易的に査定する方法です。依頼者はホームページのフォームへの入力やメールのやり取りを通して、短時間で簡単に査定結果を入手できます。複数の不動産会社へ一括で査定依頼ができる無料のサイトや、AIを活用し自動で査定価格を算出するサイトやアプリがあります。いずれにしても、あくまで簡易的な査定方法であり個別の条件が加味されないため価格のズレが生じやすく、詳細な査定結果が必要な場合には、訪問査定の利用が推奨されています。
査定価格から相場を把握し、また査定結果を比較・検討し、訪問査定を依頼する会社を数社に絞ります。

訪問査定

訪問査定とは、不動産会社が現地へ足を運び、物件を直接見たうえで査定する方法です。依頼者から提供された物件の情報に加えて、実際の立地条件や周辺環境の調査が行われるため、より詳細な査定結果が期待できます。机上査定と訪問査定で金額に差が出る可能性もあります。査定に時間を要するため、机上査定後に行われるのが一般的です。
提示された査定結果や担当者の対応を比較・検討し、実際に売却の仲介を依頼する会社を決めます。

査定額の算出方法

取引事例比較法

取引事例比較法とは、不動産会社の過去の取引事例を根拠に、査定額を算出する方法です。物件の周辺地域でかつ条件の近い事例が参考にされます。中古マンションの査定でもよく利用されています。

収益還元法

収益還元法とは、主に収益を得るための物件に用いられる査定方法です。不動産の運用で将来的に期待できる収益や、不動産価値などを算出します。投資用の中古マンションに使われることがあります。

原価法

取引事例比較法や収益還元法のほかに、原価法という算出方法があります。原価法は主に一戸建ての査定で用いられます。物件を新築した場合の価格を想定して算出したうえで、そこから経年劣化による価値の低下を差し引き、査定額を算出するのが特徴です。

査定額に影響する主な要素

中古マンションを査定するうえでのチェックポイントをご紹介します。これらの内容を証明する資料が必要な場合もありますので、自宅を購入した際の売買契約書や重要事項説明書を改めて確認するなど、準備できることは事前に少しずつ着手しておくと取引がスムーズに進みます。また、好印象を与えるためにも不要品を処分し掃除や整理整頓しておきましょう。

チェックポイントに含まれていないことでも、住んでいるからこそ分かる物件の魅力をピックアップしておいてもよいでしょう。なお、後々のトラブルを防ぐためにもマイナス面についても隠さずに正確に申告することが必要です。

立地 最寄り駅からの距離はどれくらいか、徒歩圏でない場合の交通の便
周辺環境 近隣にスーパーや学校、病院、郵便局などの生活利便施設があるか
方角、階数 日当たりや風通しが良いか、部屋からの眺めはどうか
広さ、間取り、設備 専有面積・各部屋の広さや間取りの使い勝手、設備のグレードはどうか
※各設備の説明書があれば揃えておきましょう
築年数、建物の構造 築何年か、新耐震基準に適合しているか、耐震性の高い設計になっているか
※昭和56年(1981年)6月1日以降の建築確認が適用された建物は新耐震基準です
共用部分の管理状況 共用部分の管理が行き届いているか、
セキュリティ設備が導入されているか、パーティールームなどの共有施設があるか
駐車場 駐車場の有無、住戸数に対して駐車場の数は足りているか
管理費、修繕積立金 管理費や修繕積立金はどのくらいか、改修計画が立てられているか、物件全体で滞納がないか
※判断が難しい場合、管理組合や管理会社へ問い合わせるという方法もあります
施工、販売会社 施工主や売主が大手企業か、ブランドマンションか、施工会社は実績が豊富な会社か
住居内の使用状況 専有部に破損はないか、リフォームが必要か

中古マンションの査定を依頼するときのポイント

不動産会社に中古マンションの査定を依頼するとき、押さえておきたいポイントをお伝えします。不動産売却で失敗しないために、まずはしっかり査定をしてもらいましょう。

時間に余裕をもって査定を行う

中古マンションの売却を希望するなら、可能な限り時間に余裕をもって査定を依頼しましょう。目安としては、少なくとも期限の半年前には査定を依頼すると安心です。売主が売却を急いでいることが知られると、不動産会社から強引な値下げ交渉をされる可能性があります。金銭面での損失やトラブルにもつながり得るため、中古マンションの売却を検討しているときは、早めに準備に取りかかりましょう。

依頼前に基本的な知識を身に着けておく

不動産会社に中古マンションの査定依頼をするなら、事前に基本的なマンション売却の知識を身に着けておくことをおすすめします。知識のない状態で査定を依頼すると、その後の不動産会社との交渉で自分が不利になるおそれがあるためです。中古マンション売却について、あらかじめ複数の見解や事例に触れておくと、自分の意見を明確に持つことにもつながります。適正な取引のために情報収集を行いましょう。

複数の不動産会社に査定を依頼する

不動産会社への査定依頼は、複数の会社へ一括で依頼し、相見積もりを取ると安心です。

1社のみに査定依頼をすると、金額の相場がわかりにくいため適正価格での取引がしにくくなります。また、中古マンション売却では、不動産会社のスタッフとの相性も重要となります。査定額だけでなく、相談や質問に誠実に対応してくれるかなど各社の対応も含めて比較検討し、もっとも条件の良い不動産会社を選ぶため、複数の会社に依頼することが大切です。

中古マンションの査定額を上げるコツ

中古マンションの査定を依頼する際、立地や周辺環境などは変えようがありませんが、準備次第では査定額がプラスとなる可能性があります。

高評価を得るコツを記載しますので、参考にしてください。

壊れた設備を修繕する

故障している設備があると査定額が減額されるおそれがあります。必ずしも新しく買い替える必要はないものの、修理が可能であれば直しておきましょう。最新の設備に交換済みの場合は査定額アップに影響する可能性があります。

マンションに強い不動産会社に査定を依頼する

マンションの取り扱い実績が豊富な不動産会社には高値で売却するノウハウがあります。中古マンションの売却が得意な不動産会社に査定を依頼するとよいでしょう。特定のエリアに取引実績が多く得意とする不動産会社もあります。不動産会社の特徴はホームページやパンフレットなどで確認できます。

住んでいるからこそわかるアピールポイントを伝える

査定時には物件の魅力を最大限伝えることが大切です。住んでいるからこそわかる魅力もあります。事前にピックアップしておきましょう。
例えば、

  • 夜間でも人通りや街灯が多く帰り道も安心
  • 管理組合が積極的にイベントを開催している
  • 窓からの眺望が良い・花火大会が見える など

また、メリットだけではなく、デメリットや注意点などマイナス面も忘れずに伝えましょう。仲介を依頼する契約後に判明すると不動産会社とのトラブルの原因になり、信頼関係が崩れることから売却そのものがスムーズに進まないおそれがあります。

マンションを売却するなら早めに査定依頼をしましょう

今回は、マンション売却の流れや、査定方法の基礎知識、査定を依頼するときのポイントをご紹介しました。中古マンションを売却するときは、初めに相場をチェックしたら、不動産会社へ査定を依頼します。査定依頼は時間に余裕をもって、少なくとも半年前には取り組みましょう。

依頼は複数の不動産会社へ申し込むことが大切です。査定額に影響する要素のうち、対応できる事項については手当てしておくことが評価アップに役立ちます。住宅ローンが残っていても売却は可能です。中古マンションの売却時に、売り出し価格を高くし売却を成功させるために、まずは査定を依頼してみましょう。
今後、中古マンションを売却する予定のある方は、ぜひ参考にしてください。

売却しようとしているマンションに住み続けたい場合

金銭的な理由でマンションを売却するケースも多くありますが、リースバックをご存知でしょうか。マンションを売却しても資金を確保しながら住み続けられるのがリースバックの特徴です。
まだ検討されてない方はリースバックをぜひご検討ください。

不動産会社が提供するリースバックの商品には、サービスごとに特色があります。なかでも一建設の「リースバックプラス」は、ライフスタイルに適したサポートを受けられるのが魅力です。リースバックの目的や将来のビジョンに合わせて、2つのプランをご提案。短期的に買い戻しの予定が無いご家族や、ずっと同じ住環境をご希望のご家族に適した「標準プラン」、早期に買い戻すご予定の方や、とにかく賃料を抑えたい方、一時的な資金調達などに適した「定期プラン」から、ご家族のニーズに合うプランをお選びください。

 

 

 

 

 

 

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